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「また魔物だ!イグニスはどこだ!?」
「イグニスでてこい!勇者なら戦え!」
イグニスの家のドアを叩く人々にうげぇと思いつつ、イグニスをみると震えていた。
頭を抱えて、「できない」と呟く。
「なんで、オレなんだ……勇者なんて……」
イグニスは泣き出す。
「オレは、ただの人間なのに……!」
その悲痛な声を聞いて、気づけばーーーー動き出していた。
「はぁい、ちょいとすいませんねぇ、通りますよー」
「あ?なんだおまえ!」
騒がしい人々の間に割り込んで、イグニスの家の扉の前に立つ。そして、大声を出した。
「おーーい!イグニス!聞こえてるよなぁ?おまえ、いいのか?こんなアホどもにバカにされて。こいつら自分らは安全地帯にいるくせに好き勝手言ってるNPCだぞ」
その言葉に人々が怒り狂う。しかしそんなのは気にせずイグニスに告げる。
「おまえが、一人でできないなら助けてやる。だから、そっからでてこい。その狭っ苦しい自己否定のメンタルの中から」
言い終わると、後ろからの野次に耳を塞いだ。確かにうるせえから嫌になるわなと共感してしまう。
こんなん毎日くらってたのか、そりゃしんどいわな。
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