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「はぁ……んっ……」
胸への愛撫は続けたまま、唇も何度も重ねた。
テティアの体の緊張は消え、くたりとしてくるのが分かる。
すると、ダリウスの手がドロワーズの紐にかかった。
「これも、いいですか?」
それを取ってしまったら、いよいよ一線を越えてしまうのではないか。
怖さと、羞恥と、期待が入り混じる。
どうしたらいいか分からなくて、ダリウスに困った顔を向けるしか出来なかった。
彼はふっと笑うと、「もう少しお預けですね」と言って、それを取り払うことは諦めた。
その代わり、布の上からテティアの下腹部にそっと触れた。
テティアはそのまま不安そうな目でダリウスを見ているが、止めることはしないようだった。
ゆっくりとその手が足の隙間へと下りていく。
薄い布越しに触れたテティアの秘めた場所は、下着の上からでもくちゅりという音を響かせ、そこが存分に濡れていることを知らせた。
「ああっ……や、なに……」
「感じてくれているようですね」
もう1度撫でられる。
這わせた2本の指先が、布越しに湿り気を感じた。
「んぁあっ……なに、これ、なに?」
テティアは胸とは比べ物にならない感覚と、なぜか濡れていることに混乱しているようだった。
「濡れた感じがしますか?」
「お、オイルみたいな……」
「それはあなたの体が私の刺激に対し淫らに反応してくれたということ。つまり私の愛撫やキスに感じて、愛液を溢れさせた。私を受け入れる準備を体がしてくれたということです」
「あの、でも、私……」
「ええ、いくらそうだからと言って、心理的にまだテティアの準備が整っていないのは分かっています。だから今日はこのまま、1度達してみませんか?」
「た、する」
「絶頂を迎えてみませんかという意味です」
「そ、それくらいは知ってます」
ダリウスは「それは失礼」と言うと、耳に唇を寄せた。
「感じて下さい。体を楽にして、私の手から与えられる刺激を追いかけてみて下さい」
そしてかぷ、っと首筋を甘噛みした。
「ひぁん」
「そうです、そうやってたくさん感じて、いつか私を受け入れて下さい」
「や、首、やぁっ」
首筋に舌を這わせながら、手は薄布を柔らかな肉に押し付け緩やかな刺激を与えた。
自分で溢れさせた愛液が潤滑油のようになり、布が割れ目の内側を刺激しようと沈み込んでくる。
そしてその刺激が何かに触れると、テティアはびくんと体を揺らした。
「ひぁあっ、な、それ、ああっ、だめ、すごい、それ、や、ひぃんっ」
布越しに捉えたテティアの小さな蕾を、ゆるく撫でてやる。
腰をひくつかせ、足にぎゅっと力が入っているのを見たダリウスは、そのまま一気に高みに連れていくために揺れる乳房を口に含んだ。
「ああっ、むね、だめ、ああ、や、ひっ、変、変です、だめぇ」
「感じる所に集中してみて下さい」
「や、こわ、キス、ダリウス、キスして」
テティアが未知の感覚に怯え、ダリウスの頭を抱える。
すぐに望み通りキスであやしてやると、いじり始めたばかりと言うのにすぐにその時は来た。
「や、あ、いっーー………………んぁ……は……はぁ……」
足にギュッと力が入り、股間に埋もれたままのダリウスの手を締め付ける。
つま先はシーツを乱した後にピンと突っ張り、テティアの手はダリウスの短い髪を引っ張ってしまった。
そして急速に訪れる脱力感に、頭の中を真っ白にしたまま荒い呼吸をするしか出来なかった。
「可愛い。テティア、可愛いですよとても」
「ん……ダリウス……」
ご褒美でも与えるかのように、ダリウスは短いキスの雨を降らせる。
自分の手で乱れ、達するテティアのなんと可愛いことか。
恍惚の表情をもう1度確認したくて、顔を覗き見る。
どうやら彼女は、快感の果てに意識を飛ばしてしまったようだった。
「困りました。可愛くて我慢なりません」
最中に何度その衝撃を堪えたろうか。
一線を超えない約束は守ったが、どうにも自分の昂りは抑えられそうにない。
「あなたが起きていたら、獣でも見るような目で見られてしまいそうですが……」
もう彼女は起きそうにない。
このまま事後処理に突入することくらいは許して欲しかった。
「テティア……」
切なく名を呼び、自分を慰める。
愛する女性の乱れたままの姿を前に、一気に込み上げてくる。
「ふ……テティア……」
早くあなたを知りたい。
共に上り詰めたい。
あなたの中に、証を残したい。
彼は短くテティアの名をもう1度呼ぶと、彼女の腹の上を欲望の結果で汚した。
余韻の中その様子を見つめる。そしてしばし空虚感に浸った後、さっさと証拠隠滅をしてしまった。
彼女を達せさせた満足感と、彼女を勝手に汚した罪悪感が入り混じる。そして愛するテティアその人を腕に抱くと、ダリウスも幸福感の中まどろんでいった。
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