44 結ばれる日

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「んあ……あぁ……なんか、入ってる……」 「私の指が、今あなたの中に押し進んでいます。痛みは?」 「違和感は……でも、あんまり痛くないです」 「それはよかった。痛いままは可哀相ですからね」 「でも、でも今は指だから……ダリウスのあんなの、どうやって……」 「だからこうして中をほぐしてやるのです」 「ああっ……」  ダリウスの指が中であちこちを探る。圧迫感が気持ちよく、指で掻き回されていると思うと今度は羞恥が込み上げ、またしばらく中を探られるともっと欲しくなってきた。  指ではない何かが。  中の蠢きがひくひくと絡みついてくるのを感じたダリウスは、そっと指を引き抜いた。 「多分、こんなんじゃほぐすのに足りないと思います。ですが、すみません、私ももう……こんないやらしいあなたを前に、これ以上我慢できません」 「大丈夫、きて……もう、怖くないから、何が起きてもいいから、きてください」 「テティア……可愛い……愛しています……」  ダリウスの余裕のない姿を見られた瞬間、今まで柔らかな刺激を受けていたテティアの中に、凶悪な質量が迫った。 「ひっ……ふ、ぁ…………」 「力、抜いて下さい。このままゆっくり進みます」 「は、はっ……んんっ……」  指なんかとは比べ物にならないものが入ってきている。  これほど潤滑油があっても、入り口は裂けそうだし、中もぶちぶちと破られてしまいそうな感覚になった。 「ぃっ……あっ――……」  テティアの顔が快楽ではなく痛みで歪む。  必死にそれを出すまいとしているようだが、それが返って痛々しい。 「ふ……痛むようですね。すみません、ゆっくり慣らしてやらなかったから」  このまま強行すれば、最初に言ったように本当に壊してしまいそうな気がする。  まだほんの少ししか入っていないが、ここはもう引き返してやらないと可哀そうだ。  押し込みたくなる気持ちをぐっと堪え、腰を戻そうとした。 「ま、まって、だ、ダリウス、だめ、やめないで」 「本当に壊したくありません」 「ちがうの、私も、おなじくらい、ダリウスに、最後までしてほしい……」 「私だけ気持ちよくなるにあなたのダメージが大きすぎます」 「だから、ね。つないで、かいろ。あの、夫婦の、かいろ」 「契りの書……」 「そしたら、きっと、さいごまで……いっしょに、きもちよく、なれる」 「テティア……」  2人の気持ちが一緒になった。  数瞬見つめ合った後、どちらからともなく激しいキスを絡め合う。  それから2人で素早く祝詞を捧げると、いつぞやいたずら半分で流した性感帯の回路に魔力を流す。  ダリウスの猛りが増し、同時にテティア悦楽の表情が浮かんだ。 「あぁ……ダリウスの、き、気持ちいい……もっと、もっと奥に……」 「痛みは?」 「ない、ないの。気持ちいいだけ……中がダリウスで気持ちいいの」  テティアが恍惚の表情でダリウスを見ている。  もう遠慮や気遣いは必要ない。  すでに埋まっているダリウスの楔は、テティアに包まれ猛烈な快感を伝えている。  ダリウスは溜りに溜ったテティアへの情愛を、これでもかと処女の体に打ち付けた。    濡れた音、肌のぶつかる音、テティアの止まらぬ喘ぎ声。  揺れる胸を鷲掴みにし、だらしなく開く口を塞ぎ、腰は最奥を穿った。  一番奥に到達するたびに、テティアの内部がダリウスの先端に絡みつく。  あり得ないほどの感覚に果てるのにはそう時間はかからなかった。 「テティア、テティア。あなたの中に、私のものを残したい」  言葉にならない喘ぎしか出来ないテティアは、返事の代わりにぎゅっとダリウスの腰に足でしがみついた。  流す魔力量をほんの少しだけ増やすと、2人は同時に真っ白な世界に到達した。 「テティアっ」 「だり……んあぁーーーーっ」  ダリウスですら意識が飛びかけるほど強い快感が突き抜け、テティアの中で溶けてしまったのかと思うほどだった。  もうとっくに全て吐き出したと言うのに、余韻を追いかけることが止められず腰が動いてしまう。  テティアが突っ張った体と内側を小刻みに揺らし未だ快感の果てから戻らない。  繋がったままの回路と体は、小さな快感を生み続けていた。    これ以上はおかしくなる。  しかしいきなり回路を断ってはテティアに猛烈な痛みが襲う気がする。  このままではずっと発情した獣のようになってしまいそうで、ダリウスは回路をキスで保ったまま自身を引き抜いた。  下半身から伝わる余韻が長い。  テティアはもう中にダリウスはいないと言うのに、まだ絶頂が収まらない様子だった。  テティアの体を撫でながら少しずつ回路を絞り、やがて糸ほどの太さにした後、唇を離した。  テティアはぐったりとしている。  正気を保っていられず、小さく「だりうす…」と呼んだ後に意識を飛ばしてしまった。  後で痛みが残らなければいいのだが。 「これは……多用は危険ですね」  恐らくあの本にあった内容は、あくまで一般人が夫婦や恋人の仲を深めるお遊び的なものとして書かれたのだろう。  本職の、しかも精霊術師の最高峰がするにはご禁制の媚薬かそれ以上の効果を生んでしまう。  媚薬と称してちまたに溢れる、そんな気になったような気分にさせる程度のものなら十分楽しめそうだが。  やるとしても、あるかないか程度の魔力を流すに留めた方がいいだろう。  本当はもっとじっくり朝まで愛し合いたかったのに、うっかり流し過ぎた魔力のせいで濃厚な1回になってしまった。  ダリウスももう全身を襲う気怠さに、テティアごとシーツの中に潜り眠ってしまった。  翌朝情事の跡そのままに、裸で抱き合っている状態で目覚めたテティアが悲鳴を上げたのは言うまでもない。  だが同時に、目覚めたダリウスとキスを交わせば、どうしようもないくらいの多幸感に包まれたことも言うまでもないだろう。
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