エピローグ

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 跳ね出しそうな心臓を押さえつけます。  嫌われるかもしれない。鬱陶しいって言われるかもしれない。でも、この気持ちは今伝えなければ、もう二度と彼に会うことはない。 「待って!」  四月一日。今までのこの日は何人の嘘つきを許して来たのでしょう。そして私は許してもらえるのでしょうか。 「嘘を吐いて、ごめんなさい!」  立ち止まった彼に伝えたい。嘘ではない、本当の私の気持ちを。 「あなたのことが好きでした! ずっとずっと、好きでした!」  気持ち悪がられるかもしれない。  こんな気持ちを何年も引き摺っているなんて。  でも、彼の目を見ただけで、何もかもが吹き飛んでしまうぐらい彼のことが好きなのです。 「僕も、ずっと嘘をついていて、ゴメン」  抱きしめられた温もりは私が何年も前から欲しかったもの。  春の風がチューリップの甘い香りを届けてくれました。 ーおわり
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