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(本当にそうなのかな──?)
確かに純也も最初は、周のアカウントが乗っ取られたと思った。
しかしふと、以前周に言われたことを思い出した。
「心霊スポットって作れるかも! たとえばさ、歩道橋の通路に菊の花を毎週供え続けるんだ。そしたらいつの間にか、そこから飛び降りて誰かが亡くなったと噂になり、そのうち歩道橋で幽霊を見たなんていう目撃談が出てくるかもしれないよ」
三津橋周は、いつも奇想天外なことを考える面白い奴だった。
(死んでから、試してみたということはないのかな?)
そう純也は考えた。
そういえばこんなことも言っていたなと思い出す。
「友達のエイプリルフールの嘘見てるとさ、SNSで“彼と別れました!”とか“彼女に赤ちゃんできたので大学辞めて働きます!”とか、そういうのばっかじゃん」
周は真剣に怒ってた。
「もっと誰も傷つけない嘘、逆に人のためになる嘘ってつけないのかな?」
確かにそれらの投稿のせいで、彼女が怒り一悶着あったとか、破局したという話が聞こえてきた。
(だから、エイプリルフールにあんな投稿をしたとか? まさかな……)
熱くて面白くていい奴だった、三津橋周は。
(なんで死んじゃったんだよ。おばけになって出てくるなら、僕のところに出て来いよ)
今でも純也は、SNSの周のアカウントに新しい投稿がないかと探している──。
<了>
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