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「そこまでだ! 岩崎!」
背後から大きな声が信二を制した。
振り返ると、いつか訪ねて来た私服の刑事が二人、それに何人もの制服警官が立っていた。
「岩崎信二、久保春香さん死体遺棄容疑で署まで同行を願いたい」
二人の刑事のうちの一人、高遠刑事が冷たく言い放った。
「な、何を証拠に!」
信二が怒鳴ると、高遠刑事は信二が掘っている穴を指差す。
「久保さんが埋まっている場所をお前が知っていたのが何よりの証拠だ」
刑事が差し示した自分の足元の穴を見て、「げええっ!」と信二は叫び、後退りして尻餅をついた。
穴の中には、白骨化しかけた女性の遺体──白いワンピースを着た春香──の一部が土から出て見えていた。
「そんな」
俺はただ三津橋を埋めようと穴を掘っていただけ──そう言おうとして信二は辺りを見回す。
スタンガンで倒した三津橋はどこへ行った?
「三津橋は? 三津橋周は? 全部あいつのせいだ! あいつがエイプリルフールにあんな投稿なんてしなきゃ……」
喚く信二に高遠刑事が言う。
「三津橋周さんは一年前に、井筒トンネルを出た所でバイクの自損事故で亡くなっている。お前が三津橋さんの生活圏を探っていたのは承知しているが、いったいなんのためだ? 三津橋さんが借りていたアパート周辺をうろつく様子も、コンビニの防犯カメラに映っているぞ」
「えっ? しかしアパートに三津橋が」
「三津橋さんが住んでいた部屋は、今は空室になっている」
「そんな! じゃあ、あれは……」
茫然とする信二だったが、刑事二人に囲まれて警察車両に連行されていった。
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