5章 1 川だ!!

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5章 1 川だ!!

青空の下で、地平線の彼方まで真っ直ぐ伸びた馬車道を進む荷馬車。 時折すれ違う馬車に挨拶を交わしながらの旅は続く。 「のどかな旅っていいわよね〜」 膝の上にうさぎを乗せて、背中を撫でていると、カインが声をかけてきた。 「リアンナ様。この先に小川が流れています。少し、ここで馬を休めていきませんか?」 「え? 小川が流れているの? いいわね、休憩しましょう!」 すると、御者台のジャンが不服そうに口を尖らせる。 「あ! 俺が先に言おうと思っていたのに!」 するとニーナが注意した。 「誰が先に言おうと関係ないじゃない。でもリアンナ様。川を見るのはこの旅で初めてですよね」 「そうね。湖の側なら通ったことがあるけれど。どんな川なのかな〜早く行ってみましょう」 「そうですね、少し急ぎましょうか」 私の言葉に、ジャンは手綱を握りしめて速度を上げた―― **** 到着した川は周囲を木立に囲まれた、美しい場所だった。 川幅は多分1m位で、何処までも真っ直ぐ地平線に向かって伸びている。川の流れはそれほど速くなく、水底も見えるので深くはない。水の透明度は高く、小魚が泳いでいる姿が見えた。 「うわ〜素敵! なんて綺麗な場所なの!」 日本の都会で暮らしていた私にとっては、まさに奇跡的な景色だった。 「リアンナ様、川の水が冷たくて気持ちいいですよ」 川の水を桶に汲んで水を飲ませていたジャンが声をかけてきた。カインは少し離れた場所で愛馬のスカイに草を食べさせている。 「本当?」 川に近づいていくと、ニーナもついてきた。 「私も水に触ってみたいです」 「そうね、一緒に水に触ってみましょう」 2人で一緒にしゃがんで川の水にそっと触れてみる。水は冷たく、そしてとても気持ちが良かった。 「キャッ! 冷たい! でも、気持ちいいですね」 「そうね、とっても気持ちいいわね」 水に触れていると、どうしてもアレをやってみたくなった。 立ち上がると、しゃがんでいたニーナが首を傾げる。 「リアンナ様、どうされたのですか?」 「うん、川に入ってみたくて」 「ええっ!? 本気ですか!?」 驚くニーナの前で靴を脱いで、長いスカートをたくし上げた時。 「リ、リアンナ様っ! 一体何をなさるつもりですか!?」 突然背後から驚きの声が聞こえ、カインがこちらに駆け寄ってくる姿が見えた。 「あ、カイン」 スカートをたくし上げたまま、その場にいるとカインが眼の前までやってきた。 「リアンナ様! 貴族の御令嬢なのですから、あ、あまり人前で足を見せるようなことは……そ、その……おやめになったほうが良いですよ」 カインは赤い顔で視線をそらせている。 「そうかな? 別にコレくらい、どうってこと無いけど」 「どうってことありますよ!」 ジャンは私に背中を向けて訴える。 「ええ〜。いいじゃない、別に堅苦しいこと言わなくたって。だって、もう私は追放されて貴族じゃないし」 「リアンナ様……」 カインの顔が曇る。あ、何だかまずいことを口にしてしまったかもしれない。 「まぁいいから、いいから」 私はスカートをたくし上げたまま、ジャブジャブと川の中へ入っていった。 「「「あ!!!」」」 「つ、つめた〜い! でも、気持ちいいわよ! ねぇ、皆も一緒に川に入りましょうよ!」 笑顔で川の中から3人に声をかけた。 「「「……」」」 3人は少しの間、互いの顔を見合わせ……。 「「「はい!!!」」」 その後全員で冷たい川に入って、ちょっとした水遊びをした――
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