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第4話
その日の夜であった。
ゆうとは、ひどく疲れた表情で帰宅した。
テーブルの上には、アタシが作った夕食が並んでいた。
アタシは、優しい表情でゆうとを迎え入れた。
「ゆうと…お帰り…ゆうと…」
ゆうとは、アタシの呼びかけに応じなかった。
アタシは、やさしい声でゆうとに言うた。
「ゆうと…今日はゆうとが大好きな揚げ物料理をたくさん作ったのよ…ゆうとの大好きなトントロの串カツもあるわよ…揚げ物に使う油を変えたのよ…おいしくからっと揚がっているわよ…ゆうと…」
(バーン!!)
ゆうとは、ドアを思い切り閉めてアタシをイカクした。
まゆこさんがパートから帰って来る時間が遅いので、アタシが代わりに晩ごはんを作ったのに…
なんでイカクするのよ…
アタシ…
ゆうとにきらわれたみたい…
またところ変わって、十川東町のフジグランのフードコートの中にあるめん類店にて…
コウガミさんがまゆこさんのもとに会いに来た。
まゆこさんは、食器洗いをしながら怒った声でコウガミさんに言うた。
「コウガミさん!!アタシはもうガマンの限度が来たからゆうとさんと離婚するわよ!!…アタシは本気よ!!」
「まゆこさんの気持ちは痛いほどよく分かるよ…だけど、もう一度だけ話し合いしたらどうかな?」
「イヤ!!拒否するわよ!!」
「拒否するって…」
「アタシはあの時、どんな想いをして前の職場をやめたのかわかっていないわね!!」
「まゆこさんはなんで前の職場をやめたのかな?」
「事業主が産休や育休にムカンシンだからよ!!」
「そんなことはないよ…前の職場の社長さんは、娘さんがつらい思いをしたから…」
「作り話をしないでよ!!それよりも帰ってよ!!」
「帰ってよって…」
「帰ってよと言うたら帰ってよ!!アタシは、近いうちにゆうとさんとキョウギするから…」
「まゆこさん…」
「ますますはぐいたらしいわね!!帰ってと帰ってよ!!」
(ザバーン!!)
思い切りブチ切れたまゆこさんは、コウガミさんに対して残り汁が入っているバケツを手にしたあと頭からかけた。
その後、洗い物を再開した。
コウガミさんは、ゆうとの定期代を節約するために従業員さんの送迎のバスを手配することを伝えようとした。
送迎バスで通勤をすれば、手取りが増える…
長尾や三木町方面から通勤する従業員さんたちと一緒に行けば毎日が楽しくなる…
…と伝えようとしたが、まゆこが拒否したので立ち消えになった。
今のふたりは、幸せな結婚生活を営むことはもはや不可能となった。
アタシは、無理して購入した家を売却することと本籍地を砥部町に戻したあとふたりを離婚させると決めた。
もうダメだ…
あきらめよう…
あきらめよう…
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