……ごめんね、クリフ。

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……ごめんね、クリフ。

「…………これ、は……」  そう、ポツリと声を洩らすクリフ。茫然自失――まさしく、そんな言葉がピタリと当てはまる表情で。  尤も、それは私もほぼ同様で。と言うのも……卒然、私の()が光るやいなや、辺り一帯が目も当てられぬ有り様――すっかり瓦礫と化した教会だけが残る、何とも無惨な有り様で。  だけど、更なる衝撃は――隙間もないほど密集していた夥しい数の村民が、今や一人も見当たらないこと。私――そして、クリフを残し一人も見当たらないことで。  ……まあ、それもそのはず――クリフ以外の全ての人間を、文字通り跡形もなく焼き尽くしてしまったのだから。
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