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「…………エマ、ごめん。……本当に……本当に、ごめんっ……」
「……クリフ」
すると、この惨憺たる状況に少しずつ理解が追いついてきたのだろう、見るも痛ましい悲痛の表情で謝意を口にするクリフ。そんな彼に対し、申し訳なくも少し可笑しくなってしまう。いや、さっきもそうだけど……なんで、貴方が謝るの?
とは言え……まあ、そんな彼の気持ちも解らなくはない。自分を助けるため、人ひとりの命を奪い磔にされてしまった挙げ句、窮地にて思い掛けず能力が発動し、自分以外の全ての人間を灰にしてしまった――きっと、そのように考えているのだろうから。自分のせいで、私の心に生涯かけても癒えぬほどの甚大な傷を刻んでしまった――きっと、そのように考えているのだろうから。そんな、直視し難いほどの苦痛に顔を歪める彼を見つめながら、私は深く納得を覚えた。
――これが、私の本当の望みなのだと。
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