……ごめんね、クリフ。

3/6
前へ
/23ページ
次へ
「…………エマ、ごめん。……本当に……本当に、ごめんっ……」 「……クリフ」  すると、この惨憺たる状況に少しずつ理解が追いついてきたのだろう、見るも痛ましい悲痛の表情で謝意を口にするクリフ。そんな彼に対し、申し訳なくも少し可笑しくなってしまう。いや、さっきもそうだけど……なんで、貴方が謝るの?  とは言え……まあ、そんな彼の気持ちも解らなくはない。自分を助けるため、人ひとりの命を奪い磔にされてしまった挙げ句、窮地にて思い掛けず能力(ちから)が発動し、自分以外の全ての人間を灰にしてしまった――きっと、そのように考えているのだろうから。自分のせいで、私の心に生涯かけても癒えぬほどの甚大な傷を刻んでしまった――きっと、そのように考えているのだろうから。そんな、直視し難いほどの苦痛に顔を歪める彼を見つめながら、私は深く納得を覚えた。  ――これが、私の本当の望みなのだと。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加