異分子

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異分子

(……おい、あれは……) (……あんなに可愛い顔してるのに、ほんと人は見かけによらな……いや、そもそも人間(ひと)じゃないのよね)  ある昼中のこと。  疎らな茅葺屋根を眺めながら、長らく舗装のされてないであろう石畳の道を歩いていく。すると、遠巻きに届く微かな会話。尤も、この程度ならば全く以てマシな方ではあるのだけども。と言うのも――  ――カンッ。  それから、およそ数十分後。  卒然、鋭いような鈍いような音が間近に響く。まあ、それも当然。何故なら―― 「――ここから出ていけ、この悪魔!」  そんな甲高い声と共に届いたのは、長さ20mmほどの黒い石。それが、私の側頭部へ直撃して。まあ、この程度ならばやはりマシな方なんだけども。        
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