転勤族から引っ越したい

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 私は今年で中学2年生だ。  来年には、高校受験が控えている。  高校進学したら、転校を繰り返すのは現実的じゃない。  そんなことは、学校の成績がよくない私にだって予想がつく。  そうだというのに、パパとはまともに話し合ったことがない。  親子関係が険悪なわけじゃない。  ただ、まともに話し合いができないだけ。  「ねえ、パパ。私の進路、どう考えてるの?」 「好きな高校に行きなさい」 「ナニソレ。もっとちゃんと話したいんだけど」 「お前が決めた道なら、なんでも応援するよ」  パパついつもこう(・・)だ。  好きな高校に行きなさい、と言って、相談にも乗ってくれない。  『放任主義』というよりは『娘の進路に興味がない』といった雰囲気だ。  パパからの言葉には、全く温かみを感じられない。  もし試験に受かったとしても『お金がない』とか『そんな場所には通えない』とか言われたら、たまったものじゃない。  それ以前に、全く娘の相談に乗らないのは、親として失格ではないだろうか。  思い出せば思い出すほど、腹が立ってくる。  今まで、何度同じやり取りをしただろうか。  何度話そうとしても「好きな高校に行きなさい」の一点張りだ。  パパも忙しいのだろう。  きっと、私と話す時間も惜しいのだろう。  でも、私の貴重なピチピチ女子中学生タイムも無駄になってきたのだ。  悩んだ時間も合わせると、丸々1週間分を超えるかもしれない。  前回の期末試験で赤点ギリギリだったのも、この時間の浪費せいだ。  タブン!
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