3人が本棚に入れています
本棚に追加
(こうなったら、意地だ!)
なんとしても、パパに相談してやる!
真面目に話し合ってやる!
私は昔から、思い立ったら行動が早い。
その日は、引っ越しの準備をしていた。
もう5度目の引っ越しだ。
私もパパもかなり手慣れていて、あっという間に段ボールに荷物がしまわれていく。
この技術を生かして、引っ越し業者で働けるかもしれない。
そう自負してしまうほどには、引っ越し作業を極めてしまっている。
ちなみにママはスマホを見ながら、ソファに座っている。
手伝う素振りは全くないけど、いつものことだ。
「ねえ、ママ。ちょっとぐらいは手伝ってよ」
「だって、あなた達二人でやった方が早いじゃない。アタシは邪魔でしょ」
「そうだけど、少しは手伝ってよ」
私がため息をつくと、ママは「ちょっと眠いから」とだけ言い残して、寝室へと向かってしまった。
視線を移すと、パパは愛想笑いを浮べている。
パパは、ママに強く言えない。
私がいくら小言を言ったって、生返事しかしてくれない。
この過程では、ママは大事に育てられたネコみたいな存在だ。
いつもの私だったら、ここで愚痴の一つでも漏らすだろう。
だけど、今は内心ガッツポーズをしている。
だって、急いで作業しないといけない今だったら、パパは逃げられないから。
最初のコメントを投稿しよう!