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「ねえ、パパはなんでいつもそうなの? 私、何が悪いことしたかな!?」
パパの息を呑む音が、異様に大きく感じた。
私は息を殺して、パパの顔をじっと見つめた。
パパの唇は、普段よりもシワシワだ。
「覚えているか? 小学2年生の時、お前イジメられていただろ?」
私は「なんでそんな話をするんだ?」と疑問に思いながらも、コクリと頷いた。
「その時、アドバイスをした。『言い返してやれ』って」
「あったね。そんなこと」
「その結果、覚えているか?」
パパは、とても悲痛な顔をしていた。
その顔で気付いた。
この出来事が、今の親子関係のはじまりなんだ。
「……もっと、イジメがエスカレートした」
そうだ。
言い返したら、イジメが悪化した。
男子と女子では、イジメの解決方法は違う。
世代でも異なってくる。
それなのにパパは、自分の実体験をもとにアドバイスをしてしまったのだろう。
「わるかったな。あの時は」
「いいよ。過ぎたことだし」
「ああ、お前はそういうよな。あの時も、そういわれたよ。だけど、うなされていたお前の様子を見に行ったら、寝言を言っていたんだ」
「なんて?」
パパは視線を下に向けた。
小さい頃の、ベッドで寝ている私を見ているのかもしれない。
全く、今の私をみていない。
「『ぱぱのせいだ』って」
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