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小鳥のさえずりと掛け時計の秒針がすすむ音を遠くで感じながら、カーテンの隙間から差す心地よい光で僕は目を覚ます予定だった。
枕元に置いてあったスマホからアラームが鳴り響く。
まるで釣り上げられた魚のように飛び上がり、ベッドという名のまな板でぴちぴちと跳ねた。急いでアラームを止めようとするが、起きたばかりで視界がぼやけていて、スマホを見つけられない。仕方がないので音を頼りに手探りで探すとスマホは枕の下にあった。画面の光に目をやられながらアラームを止めるボタンを押そうとするが、なかなかうまく押せず、数回繰り返して、ようやくアラームは止まった。
気がつけば、額に汗をかき、肩で息をしていた。
最悪の目覚めだ。
アラームを設定していたなんて。昨日の自分の行動をすっかり忘れていた。
恨めしく、スマホを睨む。
ホーム画面には日付と時間が大きく表示されていた。
4月1日 月曜日 09:12
あっ、今日か。
これは不幸中の幸いと言えるだろう。
眠気が完全に覚めていたおかげで、思い出すことができた。僕はスマホをパジャマのポケットにしまい、部屋を出た。
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