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時刻は9時過ぎ。
みんなで映画を見ることになり、多数決の結果、アクション映画に決まった。
映画は気になるけど、僕は今のうちに最後の嘘について考え始める。
残る嘘はトオルの嘘。ヒントは視覚。
すでに出ているのなら、僕が目にしてきたものの中に嘘があるということだ。
とは言っても、視界に入ったものをひとつずつ振り返っていては時間が足りなくなる。
別の視点から考えてみよう。
トオルは平等を重視している。どの嘘にも見つける機会を与えてくれていた。だから、最後の嘘も例外ではないはずだ。僕はトオルの言動を振り返る。
…あの時、どうしてトオルはあんなことを聞いてきたのだろう。
頭の中で音声が再生される。
『そういえば、弟さん元気してるか?』
トオルが突然、弟を話題に出した。
それが嘘? 本当は弟と会ってないとか。いや、それは視覚とは関係ない。弟と会ったのは本当のことだろう。じゃあ、何が嘘なんだ。今度は弟の言動を振り返る。休日なのに珍しく早起きしていた。
早起きしてどうするんだ。早く起きて…なにかした? 僕が寝ている間に。
もし、そうだとすれば、ひとつの可能性が浮かび上がる。
トオルと弟は繋がっている。だから、弟の話をしたのか。
じゃあ、弟がしたことは? アラームだ。設定した覚えのないアラーム。
早く起こしたかった? 違う。起こしたいなら、普通に起こせばいい。
アラームが鳴ったことで、僕は慌てた。そして、見た。
時間だ。
4月1日 月曜日 9:12
これか。時間をいじった?
でも、それだとおかしな点がある。スマホの時刻とリビングにある時計の時刻はずれていなかった。まさか、すべての時計の時刻をいじった? だからか。だから、迎えにきた。僕が1人で行ったら、時刻のずれがバレてしまうから。
すべてが繋がった気がする。
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