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「今日は何のゲームをするの?」
トオルからゲームの誘いを受けたのは1週間前だった。
僕と他のメンバーで対決するゲームを考えたそうで、久しぶりの集会も兼ねて参加しないか、と言われた。断る理由もなかったので了承したけど、ゲームの内容については未だに教えられていない。
トオルは何故か得意げな顔をした。
「嘘つきゲームだ」
嘘つきゲーム。安直なネーミングで、ゲーム内容がまったくわからない。ネーミングセンスは相変わらずのようだ。トオルは困惑している僕を無視して話を続ける。
「今日がなんの日か、わかるか?」
今日。4月1日。入学式とか、春の始まりとか、色々思い浮かんだけど、たぶんあれのことだろう。
「エイプリルフールかな」
「そう! 今日がエイプリルフールならやるゲームは嘘つきゲーム一択ってことよ」
どういう理屈なんだ。
「ルールは簡単。俺たちの嘘を見破ればいい」
「嘘を見破る?」
「そうだ。俺、京、介六の3人が、それぞれ2つの嘘をついている。おまえはエイプリルフールが終わるまでに、全員の嘘を見破れば勝ち。見破れなければ負けってこと。もちろん、ギブアップしても負けだぞ」
「なるほど。でも嘘なんてわかるものなの?」
「そこは安心していい。おまえなら、きっとわかる嘘に…するつもりだ」
「するつもり?」
トオルは眉間にしわを寄せた。
「実は急いで進めたから、京と介六の嘘を確認してないんだ」
本当に大丈夫なのだろうか。
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