4月1日 月曜日 00:02

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それから少し経って、トオルが料理を運んできた。 「できたぞ、焼きそばだ」 「おー、さすがはトオル氏。やりますな」 「やば。めっちゃうまそう。写真とっていい?」 「待て待て、手を合わせてからだ」 みんなで手を合わせる。 「「「「いただきます」」」」 焼きそばを箸ですくい、口に含む。 ソースのいい香りが鼻に押し寄せる。麺は極太麺でソースとよく絡み合って、食欲を掻き立てる色合いになっていた。具材は豚肉、キャベツ、ニンジンとシンプルなもので、ニンジンは薄く切って火が通りやすいように工夫されている。少し量が多いと思ったけど、すぐに食べ終えてしまった。 「ふー」 「やばすぎるわ、これ。トオルくん、うちのシェフに任命します」 このまま、座っていると眠ってしまう気がして、僕は立ち上がった。 テーブルにあった皿やコップをまとめて、キッチンの隣にあるシンクに置く。 洗おうとしたとき、京がやってきた。 「私も手伝うよ」 「いや、大した数じゃないし、食材を買ってきてくれたからさ」 断ろうとしている間に、京は皿洗いを始める。仕方がないので、一緒にやることにした。最初は順調だったものの、京の長い髪が彼女の視界を遮り始めた。 「大丈夫なの? 貞子みたいになってるけど」 「うらめしやー」 京は手をぶらぶらして貞子を真似る。泡が飛ぶからやめてほしい。 「じゃあ、結んで」 「自分でやりなよ」 京は僕に手を向ける。泡だらけだから、おまえがやれということだろう。 僕は濡れた手をタオルで拭き、京の後ろに立つ。 「どうやるの?」 「たくさんの髪を根本で持って、ひとつにする」 すっごい適当。言われたとおりにやってみる。苦戦はしたけど、なんとか掴むことはできた。そのまま、髪を持ち上げたとき、京のピアスが(あらわ)になる。 遠目から見たときは気がつかなかったけど、今日のピアスはいつもより輝いて見えた。ああ、だからか。納得した。 「京、ピアス変えたの?」 京はびくっとして、振り返った。 「正解! よくわかったね」 これが京の2つ目の嘘らしい。 「だから、髪を結ばせようとしたんだ」 「うん。トオルくんが、ちゃんとチャンスを与えなさいって言うからさ」 確かにずっと隠したままだったら、流石に気づけなかっただろう。 これで残る嘘は、トオルの2つの嘘と介六の1つの嘘だけだな。時間を確認すると、12時過ぎだった。あと半日でわかるのだろうか。 少しだけ不安になる。
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