第16話 責任

1/1
前へ
/38ページ
次へ

第16話 責任

ぼくの責任だ。一緒に露店まで行くこともできたはずだ。何故目を離してしまったのだろう。何とかしなくちゃ。追いかけたら、直ぐにロイドさんを見つけた。どうやら小屋の中にいるらしい。 「ぼくが行きますから、その隙に助け出してください」 自然と言葉が口をついて出た。怖くないと言ったら嘘になる。ぼくは力は無いけど、ロイドさんなら助けられるだろうから。 「ぼくだから、相手も油断するし・・いざとなったら、回復魔法使えるから大丈夫ですよ」 ぼくは弱い。だから相手も油断するはず。ロイドさんに止められたが、ロイドさんの手を振り払った。大丈夫。きっと上手くいく。 コンコン ドアをノックした。 「あの~すみません。ちょっといいですか?」 ギイー 「何だ?今取り込み中だ。後にしろ」 ドアが開かれ、禿げた大男が出てきた。直ぐに男はドアを閉めようとする、ドアの隙間にぼくは足を引っ掻ける。 「何の真似だ?」 ギロリと睨まれる。 「商品を是非買っていただきたくて・・」 「はあ?商品だ?何もねえじゃねえか」 ガシャン! 小屋の窓ガラスが割れた。 「誰だ?」 「「どけ!」」 ぼくは突き飛ばされて、尻もちをついた。小屋の中から数人の男が出てきた。禿げた大男も外にいる。全部で3人のようだ。 「誰もいねえ。どうなっているんだ」 ぼくはその隙に小屋に入り込んだ。わらの上に少女がいた。パトリシアだ。気を失っているらしい。 「おい!お前何してる!」 ぼくは直ぐに禿げた大男に捕まった。腹を殴られるが、あれ痛くない? 「痛ってー。お前、何か体に仕込んでいるのか・・」 「いいえ?何も?」 今度は顔を殴られた。痛くない。これはあれかな。ステータスに記載されてた。防御魔法 障壁ってやつ。ダメージを受けないのかもしれない。 「何、無視してんだ!」 考え事をしてたら無視をしていると思われたようで、男は顔が真っ赤になっている。 ぼくは、男の急所を思い切り蹴とばした。たまらず大男はぼくから手を離した。相手が動けなくなっている隙に姫様を抱えて持ち上げる。 ** 外ではロイドが男を二人倒していた。男たちは気絶しているようだ。 「え・・グリーン?」 ロイドが間抜けな声を出した。 「俺が突撃しようと思っていたのに・・助け出せたのか」 「んんん・・」 パトリシアが目を覚ました。 「姫様!」 「パトリシア!」 「あれ?ここは?わたくしどうしてここに・・」 「城に帰りましょう。グリーン、念のため回復魔法をお願いします」 『癒しの女神よ我に力を与えたまえ・・ヒール』 手から淡い光があふれ出し、パトリシアの体を包み込んだ。ヒールという魔法は、怪我以外に体力回復の効果もあるみたいだった。人を運ぶのは意外に重くて、ぼくは自分にヒールをかけながらお姫様を抱えて行った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加