18人が本棚に入れています
本棚に追加
第3話 回復魔法の使い道
この世界は回復魔法を使える人が少ないらしい。
聞いたところによると、数人の冒険者か王城か大聖堂くらいだそうだ。
だから通常は、怪我を治すのに薬草か値段の高いポーションを飲むしかない。
教会は裏庭で薬草を育てていて、緊急の時は治療をするらしい。
応急手当みたいな感じらしいけど。なので、ぼくのスキルはかなり貴重だった。
「回復魔法を使えたんですね。驚きました」
「先ほど話してた女神さまのスキルですよ。使ったのは初めてですからね」
「お金取りましょう!」
「はい?」
かくして、ぼくは教会で回復魔法を使って治療をする事になった。
「お金を稼いだ方が豊かになれますよ?」
「確かに・・そうですけど・・」
意外と、アリスさんは物欲主義みたいだ。
アリスさんはぼくの持っていた、聖職者のイメージとだいぶかけ離れていて、質素で慎んで生活してるとばかり思っていたのだ。ぼくの驚いた顔を見て、アリスさんは言った。
「そんな顔しないでください。私も一人の人間なのですから。たまには美味しい物を食べたいんです」
思い込みで人を判断するのは、良くないなと少し反省した。
それにしても、魔法を急に使えるようになったのには驚いた。多分、無尽蔵に使えるわけじゃない気がする。どのくらい使えるのかな?と思っていたら言葉が下りて来た。
「ステータス?」
目の前に文字が表れた。
グリーン 15歳 女神からスキルを貰った人族
スキル 回復魔法 初級レベル1
魔法 ヒール(5)
HP45/50
MP25/30
ヒールが回復魔法の名前らしい。後ろの数字は消費する魔力かな?魔力の量が決まっているみたいだ。他の文字の意味はよく分からないけど・・。
「どうしたんですか?空中を見つめて・・」
「えと、一日5人くらいしか診れないと思う。やりすぎると倒れちゃうかもだし」
「そうなんですね・・」
アリスさんはがっかりしているみたいだ。5人じゃ大した人数でもないし。
お金は一体いくらに設定するのだろう?
「銀貨2枚で。5人治療すれば、10枚になりますね」
銀貨二枚か・・安くは無いけど出せない金額ではない。妥当かもしれないな。
「重傷は断った方が良いかもしれないですね。治せないと困りますからね」
「え?でも、さっきの方けっこう重症でしたけど?」
あれ?そうだったのか?普段怪我人なんて見ないものな。
アリスさんは普段から見慣れているのかもしれない。
限界まで魔法使っても大丈夫かな?一回でだるい感じだけど。
「お金が入ったら、あそこと、ここと修理できますね~」
アリスさんはお金の使い道を考えているみたいだ。だいぶ資金難な教会みたいだな。
「あれ?ぼくの取り分は・・」
「・・えっと、半分こしましょう。つまり銀貨1枚で」
主導権はアリスさんに握られているようだ。
まあでも悪い話ではない。
着の身着のまま出てきてしまったせいで、お金を持っていなかったから。少し稼いでお金を貯めておいた方が良いだろう。
最初のコメントを投稿しよう!