第4話 回復魔法で仕事

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第4話 回復魔法で仕事

次の日教会の前に看板を立てた。 『怪我した方、回復魔法でキレイに治療いたします』 『一日5名様まで(銀貨2枚)』 「こんなのでお客様くるのかな?」 「多分大丈夫ですよ」 看板に気が付いた人が、立ち止まり読んでいく。数人が看板の前で話をしていたようだ。その後、去ってしまったが。 「まあ、そうそう怪我してる人なんていないよね」 そう思っていたら、教会の扉が開いた。エプロンをした小太りの女性が現れる。 「怪我人を治してくれるって本当かい?数日前、屋根から落っこちて大けがした人がいるんだけど」 「「はい。大丈夫です」」 「もしかして動けなくて寝てたりしていますか?」 「そうなんだよ。動けなくて困っていて、是非家に来てほしくて・・」 ぼくとアリスは、エプロンを着た女性に付いて行くことになった。 念のため薬箱も持って行くことにした。 町を歩くこと数分、一軒の家に着いた。家の中に通されたので様子を見ることにした。一応手当はされているみたいだ。 「家の主人です。随分と痛がっていて・・」 ベッドに筋肉質の男性が横たわっていた。寝ているようだ。 足を折っているみたいだけど、魔法で治せるのかな? 足に両手をかざすとまた、頭に言葉が浮かんできた。 ぼくは唱える。 『癒しの女神よ我に力を与えたまえ・・ヒール』 淡い光が足を包み込んだ。 「わあ~」 アリスさんが感嘆の声を発した。 「初めて見ました。回復魔法ってキラキラしているんですね」 「え?シスター?初めてって・・」 ぼくはエプロンの女性に言った。 「包帯を外してみてください」 「は、はい」 女性は男性の足に巻かれた包帯を外していく。 「おおこれは凄い!元通りだね。有難うございます」 女性はぼくに、お辞儀して感謝していた。 「一応しばらく様子見てくださいね」 「では、これでお願いします」 女性が、ぼくにお金を渡してきた。銀貨3枚だ。一枚多い。 「ちょっと多くないですか」 「あたしの気持ちなので受け取ってくださいな」 一枚返そうとしたが、断られてしまった。 **** 帰り道、体が少しふらついた。慣れるまでこんな感じだろうか? 「大丈夫?もしかして魔法を使ったせいで?」 「少し、体がだるくなるんですよ。昨日もそんな感じでした」 「そうだったんですね。良い事ばかりではありませんよね。言ってくれれば良かったのに」 「少し休めば良くなりますから・・」 「無理しないで下さいね。体調悪かったら中止にしていいですから」 アリスさんはぼくを支えて、一緒に歩いてくれる。ほんのりと花のいい香りがした。人の役に立つって良いものだな。体はだるかったけど、心は充実していた。
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