第1話 村から追放された

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第1話 村から追放された

「「お前はこの村から出て行け!二度と戻ってくるんじゃないぞ」」 薄汚い叔父のギルは、ぼくを蹴とばした。いつも酒の匂いを漂わせている。暴力を振るわれ、ぼくは住み慣れた家を追い出された。 『ガシャ』 家の鍵を閉められる。 ぼくの名前はグリーン15歳、たった今住み慣れた家から追い出されてしまったところだ。ここはグラス村、生前父が村長をしていた村。 数日前、父が病気で亡くなり落胆していたところに・・突然ギルが家に来て、家を占拠してしまったのだ。 おそらく祖父の財産目当てだと思う。よく父にお金をせびっていたから。 ギルは以前からお金のことで良く揉めていた。 「これから・・どうしよう・・」 着の身着のまま、追い出されてしまったのでお金も何も無い。村にいたら暴力を振るわれるだろうし、居場所が無い。ぼくは仕方なく村を出ることにした。慣れない道を歩く。確か半日歩けば、隣町のガラに着くはず。 荒野を歩く。足が疲れてくる。休み休み移動する。腹が減ったが、食べ物は無くひたすら歩くしかない。足が棒のようになっても、まだ町は見えてこなかった。 日が落ちてきた頃、ようやく町が見えてくる。 町の家々の明かりがポツポツと灯り始めた。 ガラ町はグラス村よりも人が多くて、夜になっても人々が行き来しているみたいだ。 多くの人々は家路を急いでいるようだった。 「何処に行けば・・そうだ」 教会に行けば泊めてもらえるかもしれない。父が昔困った時、教会に泊めてもらったと聞いていた。教会の前に行くと、明かりも無くて真っ暗になっていた。 「もう人がいないのかな?」 扉が開いていたので、ぼくは勝手に中に入った。スタンドグラスから漏れる、月明かりが室内を照らしている。薄暗くて怖いけど、取り合えず寝られればいいや。教会内の木で出来た長椅子に手をかける。ぼくは、長椅子に寝転んで休むことにした。 「寝るだけだからいいよね」 朝になれば出て行けばいい。 何処に行くのかまだ決めていないけれど。とにかく今は体を休めたい。 体を横にして目を閉じると直ぐに眠りに落ちていった。 **** 辺りが明るい空間。ぼくは霧の中のような場所に座っていた。 「ここは?」 「ここは貴方の夢の中です」 「貴方は?」 金髪の髪の長い女性が、純白のドレスをまとって佇んでいた。瞳は優しい緑色だった。 「ワタクシは癒しの女神ファンティ。グリーンさん大変でしたね」 「女神様?」 女神と名乗った麗しい女性は、優しくぼくに微笑みかける。 「ぼくを見ていたの?」 神様に会うなんて・・ぼくは死ぬのだろうか? でも不思議と怖くは無かった。 「ええ、村を出た時からずっと・・そんな貴方にスキルを授けましょう。きっと役に立ちますよ」 淡い光の(たま)が飛んできて、ぼくの体にすっと吸い込まれていく。 「使い方は・・その時に自然と分かるでしょう。くじけないで、頑張るのですよ」 ぼくは目が覚めた。ステンドグラスから光が差していて、もう朝の様だった。 教会の入口の扉が開かれて、外からの光が差し込んでくる。 誰か来たようだ。 「あら、どちら様ですか?」 訪れたのは青い修道服を身にまとった、教会のシスターだった。ぼくはこれまでの事情をシスターに説明する。 「それは・・大変でしたね。粗末なもので良ければ、食べ物を差し上げますよ。困ったときはお互い様ですからね」 シスターは笑顔で、ぼくを受け入れてくれた。 取り合えずぼくは、泊まる場所を確保できたようだ。
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