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 本棚の横の壁の向こうを、何かがドタドタと動く音が響いた。壁の中を、何かが垂直に駆け降りていくような音。  ネズミ? この家にはネズミが住んでいるのだろうか。ずっと手入れもしていないのだから、仕方がないとも思える。あらためて使うなら、まずネズミ退治をしなければいけないのかもしれない。  それにしても、大きな音だった。ネズミじゃないのかもしれない。リスとか、イタチとか、そういうものかも。こんな森の中だから、ムササビなんてこともあり得る。あるいはアライグマかも。シロアリだったら……それは困るな。  今は、音はやんでいた。私はそっと壁に近づいて、耳を押し当ててみた。何も聞こえない。何がいたにせよ、それはどこか別の場所へ走って行った。そのまま出ていってくれればいいのに……と思ったが、そこで聞こえた。  カリカリと、引っ掻くような音が。耳元で。  壁に耳を押し当てた場所の、ちょうどその場所、壁の向こうで。  ぎょっとして、私は耳を離した。さっきは確かに、離れていく足音が聞こえたはずだ。さっきのとは別の奴が、もう一匹いるということだろうか。  もう一度、耳を近づけていく。壁にペタリと、耳を当てる。すると、
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