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 僕がこういう事を始めたのは1年前、高校3年生の時だった。友達が家族との楽しそうなエピソードを話すたび、家庭環境の悪かった僕の心には寂しさが生まれていた。  当時17歳の僕は友達に家庭について相談する事もできず、受験勉強への不安も重なり、どこか逃げ場所を探していた。  僕は最初女の子と遊ぶ事で心の穴を埋めていた。だが、次第に寂しさを埋める行為だけでは事足りず、依存して縛りを設けてくる相手に嫌気がさし疲れてしまう。そんな時に思い切って使ってみたのがゲイ向けマッチングアプリだ。  稀に依存してくる人はいるものの、アプリ内で出会う人は身体目的の人がほとんどだった。    あえて雑談を沢山しないのも、2回目同じ人と会わないようにしているのも、依存されたくないから。心の穴を埋めたいだけの僕に、依存されるという行為はあまりにも重かったから。  こんなよくない事を毎日するうちに気付けば大学生になっていた。
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