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「こんばんは、ゆいとくん?」
声をかけてきたのはいつも会う様な人よりは若そうな人。
そして何より顔がすごく綺麗だった。
「はい。チハヤさんですか?」
「うん、じゃあ行こっか」
ここまでは他の誰とも変わらない流れ。いつもの様にホテルへ足を運ぶ。
やる事を済ませ、いつもなら皆んなすぐ帰る。だけど彼はまだベッドに座っていた。
「ゆいとくんは大学生だっけ?18歳?」
「そうですけど……。どうしてですか?」
この会話も決まった流れ。大体こういう話をする人はこの後に『18歳からこんな事するなんてえっちだね』って盛り上げを求めてくる。どうせこの人も。
「いや、なんでこんな事してるのかなぁって」
「え……?」
「ん?」
「あんまり聞いてくる人いなかったので……。特に理由は無いですけど、一番寂しさを埋めやすいからです。」
「ふーん、そっかぁ。じゃあまだ普通の愛情を知らないんだね」
「なんて言いましたか??」
後半部分何を言っていたのか聞き取れはしなかった。
「なんでもないよ、あんまりこういうのは辞めなよ。危ないからね。そろそろ帰ろっか」
駅での別れ際、彼は僕に『いつか健全にお出かけしようね』と声をかけて帰っていった。
危ないだの、辞めなよだの、自分だって僕に会いに来た癖にうるさいなと思いつつも、なぜだかまた会いたいと思ってしまったのが、全ての始まりだった。
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