2 三線に魅せられて

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2 三線に魅せられて

 私は大川彩実、23歳。小さな会社の事務員として働いている会社員だ。 「おーい。あと30分で定時や。残業が必要な人は、業務内容と進捗を申告してや。」  上司が部署内に掛ける声が聞こえる。今週は残業が続いたけれど、今日は絶対に定時退社したい私は更に集中して作業に励んだ。  終業のベルが鳴る。「お疲れさまです」と誰に対するでもなく一礼し、私は早速家路に就く。  初舞台まであと10日ほど。今日こそは三線の練習に行かなければ!  2ヵ月前に友達と沖縄を旅行して、その時に訪れた体験型テーマパークで琉球舞踊やエイサーを見て、三線の演奏を聞いて、私はすっかり三線の音色の虜になってしまった。  旅行の後、三線教室を調べたら隣の市の公民館で毎週土曜日の午前中に稽古をしている「(ちゅ)(ねー)三線会」という教室があることを知った私は早速教室に突撃し即入会。
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