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6 仕切り直し
私は稽古時間中にどうにか立って音を鳴らせる状態にはなったけれど、座っていたときのような演奏はできなかった。美空先生には
「もっと早くに立って弾く練習ができてたら…。本番一週間前やのに本当に申し訳ない。」
と重ね重ね謝られてしまい、逆に私が申し訳ない気持ちになった。
稽古の翌日、真夏の炎天下だったけれど虫除け対策と熱中症対策と日焼け対策をして、公園に自主練習しに行った。木陰で練習するために荷物置き用のビニールシート持参だ。
前日に美空先生から教わったとおり弾いたが、なんとも弱々しい音だ。そこへ【彼女】が現れた。
「あやみん何処におるんかなーと思ったら…さすがに真夏の昼間は木陰がええな。立って練習するからベンチも必要ないし。」
「そうなの。それより、立って弾くのと座って弾くのでは全然違うね…。」
「慣れやで、慣れ。」
慣れだと言い切る【彼女】はたぶん三線の演奏経験がとても豊富だったんだろう。
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