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♪さぁ君は野中のいばらの花か………
照明の眩しさと熱さを感じながら私は精一杯の歌と演奏を披露できたと思う。チアリーディング部のような大きな盛り上がりなかったけれど、客席からの手拍子が三線の演奏を温かく盛り上げてくれて、三線会の出番も無事に終了した。
控室に撤収し、美空先生が私たち生徒を労ってくれた。
「みんなリハから長時間お疲れさまでした。お稽古のとき以上に声もしっかり出ていて良かったわ。次の演奏会は1ヵ月後の敬老祭やからよろしく!あと10分くらいで次の団体が来るから、それまでに着替えと荷物の片付けを終えた人から順次帰ってくださいね。ではお疲れさまでした!」
「お疲れさまでした!」
舞台慣れしている方々の撤収の速いこと!気付けば片付いていないのは私だけだ。美空先生が慌てなくて良いよと言ってくれたけれど、とにかく大急ぎで荷物を鞄に詰め込んだ。片付けを終えて立ち上がると、忘れ物がないか点検していた美空先生に呼び止められた。
「このあと少し時間ある?」
「はい。大丈夫です。」
「上階に喫茶店があるからそこで少し話そう。」
「はい。」
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