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木陰で練習したあの日、「幽霊の声がボイスレコーダーで録れるわけがない」と渋る【彼女】にしつこく頼み込んで録音したのだ。驚くことに私の三線の音も【彼女】の歌もバッチリ録れていた。
ボイスレコーダーを聞いた美空先生は目を見開いて一言「美月…」と呟き、暫くフリーズしている。
「先生…どうされました?」
「彩実ちゃん!この歌い手は誰?!録音やから生歌とは多少違って聞こえるんかも知れへんけど、私の亡くなった妹に声も歌い方もそっくりなんよ。妹の美月なわけがないって分かってるけど…。」
美空先生は妹さんを亡くしてたんだ。
「私には美月っていう妹がいたんやけど、6年前に17歳で事故死したの。ごめんね、こんな話。」
「いえ…。美月さんのこと聞かせていただけませんか?」
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