9 【彼女】のこと

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9 【彼女】のこと

「美月と私は祖母から三線を教わった。美ら音三線会は元は祖母が教えてた教室でね。ベテラン生徒さんは祖母の代から習ってる人が多いかな。」 「そうだったんですね。先生が気にしてくださってたとおり、年齢と三線のレベルが離れ過ぎてて私はなかなか年配の方々の輪の中に入れなくて…。」 「ベテラン生徒さんたちも彩実ちゃんと仲良くしたいけどきっかけが分からんのやと思う。また追々話し掛けてみて。みんな温かく受け入れてくれると思うから。」 「はい。そうします。」 「うん。で、話を戻すと、今は私が本業の合間に三線を教えてるけど、ほんまは美月の方が三線も歌も教えるのも上手で、私は教室を継ぐなら絶対に美月が適任と思ってた。当の美月はそんなこと思ってなかったやろうけどね。」  美空先生の話を聞きながら、【彼女】=美月さんに違いないと思った。
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