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今は昼間だし、宙に浮いてるわけでも透けて見えるわけでもなく、明るくて健康的な印象の【彼女】には幽霊のイメージに合致する要素は皆無だ。
「私は幽霊を見るのは初めてだけど…なんて言うか…陽キャなのね。強い恨みとか心残りがなくても幽霊になるの?」
「いや、幽霊になった理由はうちが知りたい。うちは生きてた頃の記憶がなくて、身分証もないから自分が何者かも知らん。ただおねえさんの演奏する楽器の音はなーんか懐かしくて心地ええなと感じたんや。演奏って言えへんほど下手くそやけど!ハハハ!」
「もう!下手とか繰り返し言わないで!下手なのは分かってるんだから!」
「あは、ごめん。久々に人と喋れたからついはしゃいでしもたわ。」
これが私と【彼女】の出会いだった。
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