4 記憶

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 7月末なので19時前でもまだ辺りは明るい。虫除け対策と熱中症対策をして5日ぶりの自主練習を始めた。  三線を習い始めて約2ヵ月間、【彼女】からの助言と練習の成果で、私の初舞台の曲はほぼ間違えず音を鳴らせるようになった。  私が一通り弾き終わるといつの間にやら現れた【彼女】が拍手してくれた。【彼女】とは今ではすっかり友達だ。 「暗譜完璧やん!あとは歌やな。」 「やっぱり歌わないとダメか。先生も最初は私は三線だけのつもりだったみたいだけど、最近はできれば歌も…って言ってるんだよね。」 「ふーん。ちなみにあやみんはいつも座って弾いてるけど、当日も座って弾くん?」 「へ?立つの?」 「知らんがな!うちが三線弾くときは普通は立ってたし!」 「ちょっと待って!あなた三線弾いてたの?!」 「ん…あれ?うち三線弾いてたん?」 「たった今そう言ったよ?ずっと私の練習に付き合ってたから無意識に記憶が呼び起こされたんじゃない?三線の音が懐かしく感じたのもそのせいだよ!あなたの助言がいつも超的確なのも納得だわ。」 「そうなんかな?この『安里屋(あさとや)ゆんた』って曲も知ってるような気がしててん。」
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