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「彩実ちゃんほんまごめんね。」
「先生、ストラップってすぐに買えますか?」
「三線は腰骨と右手首で三線の胴を挟み込んで、その右手首のスナップで演奏するから、ストラップは必需品とちゃうよ。舞台によっては出番前後でマイクスタンドとか運ばなあかんこともあって、両手を空けたいからストラップを使う人とかオシャレで使う人もおるけど。すぐに届くかは分からんけど【三線ストラップ】で検索したらネットショップで買えるわ。」
美空先生は立って三線を抱えるお手本を見せてくれた。
「胴を固定していれば、こうやって左手を棹から離しても三線は落ちません。はい、彩実ちゃんもやってみよう!」
美空先生に手取り足取り教えてもらって私も棹が宙に浮いた状態で三線を抱えることができた。
「思ったより胴の面が下を向くんですね。」
「そうそう、良い感じ!それで練習してね。」
美空先生はそう言って次の生徒の指導を始めた。私は【彼女】が今まで助言してくれたことを思い出す。
―手元は見ない。右手首のスナップが大事である。棹は掴むんじゃなくて左手で支える感じ。―
手元を見てはいけないのは、俯いたら声が出にくくなるからだと思ってたけど、そもそも立って弾くと手元が見えないのね。
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