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 私の目の前には、三人の少年奴隷。その横に、『この中から一匹選ぶんじゃ』とでも言い出しそうな副大臣。  少年たちは三人とも、見目麗しい顔立ちをしており、恐怖と怯えと、不安の表情を浮かべていた。一人を除いて。  青空のようなターコイズブルーの瞳と目が合った。そして、 「姫様、私をお(そば)に置いていただけませんか。きっと満足させてさしあげますよ」  彼は私の前に跪くと、私の手を取り優しく微笑んだ。それは、私より年下の少年のものとは思えないほど妖艶な表情だった。じゃらんと首もとの鎖が揺れて、彼の背徳的な美しさに背筋がぞくりとする。 「ぅ゛く!」  ふいに、彼の首輪が乱雑に後ろに引っ張られた。 「奴隷風情が勝手に口を開くな!」  鎖を握る副大臣が、恐ろしい剣幕で彼を睨みつけていた。 「やめなさい」  私が制止すると、彼は鼻を鳴らして鎖を緩めた。 「お前、大丈夫?」 「ご心配ありがとうございます」  少し苦しそうに微笑むと、少年はつづけた。 「ああ、姫様はお優しいのですね。貴方のような主人にお仕えしたいです。私をぜひ貴方のお(そば)に」 「えっと」  ちらりと後ろを見ると、鎖につながれた二人の少年が卑屈そうな目で私と少年を睨んでいた。 「あ、あの」 『他の二人の意見も聞かないと』という前に、目の前の少年にぎゅっと両手を握られる。 「姫様。私が嫌ですか?」  ターコイズブルーの瞳にじっと見つめられて、心臓が跳ねた。 「私は炊事洗濯、裁縫から薬草の調合までなんだってできます。姫様の助けになれます!」  ここまで自信満々に目を見て言われると。それに、と彼は続ける。 「姫様が望むなら夜伽もうぎゃぁ!」  大臣にゲンコツされた。 「よく分からないけれど、この子にするわ」  やる気はありそうだし。それに、さっきから大臣と副大臣が般若のような顔をしているから。 「おぢ二人はこの子を置いて、さっさと帰って」 「ひ、姫様。では歌は?」  不安そうな顔をする副大臣に私は 「歌うわ。ドレスを用意しておきなさい」
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