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「いやぁ、素晴らしい歌でしたよ姫様!」 「ビビ、お前に教養があったとは驚きだわ」  歌の儀式が終わり、私は湯浴みをしている。ビビは興奮気に声を弾ませながら、私の背中をゴシゴシと洗っている。 「いいえ、歌の美しさなどはどうでもいいのです」  どうでもいいって。こっちは頑張って歌ってるのに。 「ああ、ごめんなさい。姫様の歌の素晴らしさは、その効力です。まるで首を絞められて失禁しながら気を失ったときのような感覚でしたよ!」 「それ、ほめてる?」 「もちろんです」  ビビは、にこりと笑う。そして、私の膝から下のない足に目を落とし、表情を曇らせた。 「だからこそ、この国の為政者(いせいしゃ)たちは貴方が怖いのでしょうね」  私は足の先端――切り口が癒着してソーセージみたいになっている――をそっと撫でた。 「呪いなのよ、私の歌は」
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