あの子は鳴けないほととぎす

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いつもならお弁当を食べている時間であろう時刻に、私は恐怖を味わっていた。 「一年が来るの珍しいねー。」 「初々しいねえ…。」 全方向から注がれる好奇の視線。 色の違う上履きをぎゅっと踏み締める。 同じ作りのはずなのに、廊下は全く違く見える。 「あの…、松田先輩…いますか?」 「松田?ちょっと待ってね…。」 おーい、まっつー、と呼ぶ声がする。 程なくして、松田先輩が顔を出した。 「おうおう。櫻井ちゃんじゃん。」 物珍しそうに私の顔を覗き込む。 私が1番仲良くしている先輩だ。 飄々としていて、明るい面白い先輩。 私は意を決してそんな先輩の顔を見る。 「お昼、いかがですか!」
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