それでも道は続いてゆく

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 急な勾配もなく、ダラダラと歩いてきたからわからなかったけれど、休憩所はそれなりに高台にあるようで、そこからは街の様子を見下ろすことができた。  とは言え、特に絶景という訳でもなく、ただ田舎の住宅街が広がっているだけだったけれど……。 「ロディ……、生で観てみたかったな……」  箱崎の吐き出した言葉は、柔らかな風に流されて消えてゆき、眼下(そこ)で生活している人達の耳には届かない。  いや、届いたとしても、こんな田舎じゃロディを知っている人なんて殆どいないだろうし、興味もないヤツらばっかりなんだろう。  くだらねぇ……。  俺は心の中でそう毒づくと、ベンチにドカリと腰を下ろした。 「食べきれないから肉団子あげるよ」  そう言って箱崎が俺の弁当に顔を寄せると、絹のような髪がサラリとその肩からこぼれた。  ふわりとひろがる甘い香りに、俺の心臓が下世話な音を立てる。  くだらねぇ、のは俺の方か……。
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