それでも道は続いてゆく

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「これからさ、スタジオ行かない?」  こぢんまりとした駅舎が見えてきたところで箱崎はそう言った。 「この後、いつも使ってるスタジオに個人練で予約入れてあるんだけど一緒に行かない? 二人まで入れるんだけど」  社会人とバンドをやってる訳だから必然的に練習場所はスタジオになる。  けど、使ってところに引っかかりを感じてしまうのは、ただ俺が卑屈になっているからなんだろう……。 「でも……ベース2本?」 「いいじゃん。アンプもう1台借りられるし、どうせなんだし」  見事に「」に反応してみせる俺に、箱崎はクスクスという笑い声を投げかけてくる。  クソっ。もうどうにでもしてくれ……。
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