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「で?何で悪化してんだよ」
彼女と俺のバイト先に来た杉山にどう答えたらいいのかわからない。
「今はバイト中なんで」
とりあえず去ろうとすると、
「スペアリブバーベキューソースと生とカシオレ」
注文をされたら無下にもできない。
結局、俺はカナをイかせることはできても、緩くしか反応もせずヤることはできなかった。
その事実が更に俺に伸し掛かる。
ショック過ぎて翌日は大学もサボって、今日も大学には行ったが講義も受けられなかった。
人目を避けるようにバイトに来て、杉山に押し掛けられたわけだが……。
そっとため息を溢しつつオーダーを通して他の客への料理を運ぶ。
バイトしていれば気は紛れた。
自慢の肉料理を運んで、飲んで騒ぐ客の楽しそうな姿を見てこっちのテンションも上がる。
店長がたまに端切れも食わせてくれて、バイトは疲れるけど楽しい。
「もう十分逃げただろ?そろそろ戻って来い」
杉山たちの席にビールのジョッキとカシオレのグラスを置くと、コソッと言われる。
「何?」
「こっちの話!じゃ、司馬!また明日な!」
「佑真くん、またね!」
微笑む杉山が彼女にカシオレを渡してジョッキを手にするのを羨ましく思った。
彼女にも手を振られて頭を下げて離れる。
軽く飲んでいい雰囲気のまま今夜は杉山の部屋にでも泊まるんだろう。
男として自信に満ち溢れて楽しそうな杉山が羨ましい。
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