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実際、あのオオタさんの大きな瞳が涙で濡れたら……堪らえるなんて無理だと思う。
「肌白いし縄とか映えそうだしなぁ」
「いや、そこまでは引くわ」
飲むといつも以上に明け透けになる俺たちはガッツリマニアックな性癖まで暴露済。
自分自身、結構なS寄りだと思っていた俺でも甘いと感じるほど、佐々は完全なドSだった。
「まだ縄、興味ないの?」
「なくはないけど……お前のは桁違いじゃん?」
「いや、あれは芸術だから!」
「俺にはハードル高ぇわ」
知り合いの縄師がショーに出ると佐々に連れられて見に行ったことはあるし、凄い世界だとも思う。
縛られて次第に恍惚とした表情に変わっていくМの姿はかなり惹きつけられたから。
でも、俺は縄は見るだけで満足だった。
実際かなりの技術が必要だろうし、佐々を見ていて道具の手入れだって面倒そうでもある。
そこまでして縛りたいとは思わなかった。
まぁ、手首くらいを拘束するのは好きで、お気に入りの手錠はいつもカバンに入ってるけど。
ジャラッと鳴る鎖の音。
目隠しもしてやると敏感になってビクッと跳ねるあの姿が好きだ。
動くとズレて目が見えてくる瞬間の潤んで助けを求めるような、でも期待が滲んでしまったあの表情。
「……」
「一人で妄想してるなよ?」
ゲシッと向かいの席から容赦なく蹴られてハッとする。
オオタさんで想像して勃ってしまっていた俺は無言でジョッキに口をつけた。
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