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店からすぐの公園に着いてきてくれるということは……期待していい気がする。
「君たちは仲いいね」
「そう見えます?」
ベンチに座ったオオタさんの前に立って俺たちは目配せをした。
「俺たち、今はただのライバルですよ?」
しゃがんで顔がよく見えるようにすると、オオタさんは黙ったままこっちを見る。
「俺らが好意持ってたの知ってるでしょ?」
佐々も屈んで顔を覗き込むと、オオタさんは佐々に視線を移した。
「好きですよ!本気で」
負けていられないと俺も身を乗り出すと、オオタさんは戸惑いの表情を見せる。
この顔は……クる。
それは佐々もらしく唾を飲むのを感じた。
「オオタさん、男もイけますよね?たまに腰庇ってるし……ねえ?」
追い詰めるとオオタさんは上目遣いでこっちを見る。
「何なら俺ら試してみない?三人でヤったら相性いい方選べるでしょ?」
耳に軽く息を吹き込んで佐々が誘うと、オオタさんは勢いよく立ち上がった。
暗くてもわかるほどその顔は赤い。
「彼氏でもないのにシないよ!きみたちはヤりたいだけだろ!?それなら二人でシたら?」
言われて顔を見合わせる俺たち。
去ってしまったオオタさんをなぜか追いかけられなかった。
「……フラれた?」
「めっちゃヤる気だったのに」
しゃがんで項垂れる佐々を見下ろす。
「な……」
同意すると、佐々はこっちを見上げてゆっくり立ち上がった。
「ヌくか?」
なぜか言われた言葉にそのまま頷いてしまう。
飲んだ勢いで告白した感は否めない。
そして、少なからず振られてショックを受けていた。
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