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「悪い……カナ……」
やっと声にすると、カナが目を見開いた。
「何で!?」
縋り付いてくるカナより、今こんな抱き着いて来られたのを見て佐々がどんな反応をするかが気になってしまう。
「手錠だって、痕残っても平気だよ!むしろ、残してくれたらドキドキするし……」
そんな風に言われても、思い出すのは勃たない焦りと苦しさだ。
それに……もう何となくわかってきている。
自分では制御できない圧倒的な快楽を知って、佐々のことばかり考えて……ずっと認めたくなかったが俺は……もう佐々じゃないとダメだ。
だって、こんなカナを見ても佐々ばかりが気になってしまうから。
「……カナ、ごめん。俺は……」
「何で!?待つよ!?今はちょっと調子悪いだけできっと……」
それでも涙を滲ませて俺のシャツを掴むカナ。
こんなカナにどうしたらいいのか迷っていると、
「そういうのが余計なプレッシャーってわからないか?」
佐々は俺とカナを引き離してカナをじっと見下ろした。
「相性とか言ってるけど……こいつの好きな食べ物知ってる?バスケのクセは?苦手な教科は?」
「そういうのはこれから……だってそもそも僕たちは身体だけで……」
余裕で話す佐々と比べて、言葉に詰まるカナ。
そりゃ、ずっとお互い好きな人とはできない時に欲を満たすだけのセフレだったんだからそうなるだろう。
「へぇ……じゃあ、好きなキスは?感じるポイントは?こいつの蕩けた顔、見たことあるか?」
その声の低さにドキッとした。
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