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「蕩けたって……ユウはタ……」
「こいつはネコだよ」
「はぁっ!?」
サラッと言う佐々にカナは声を裏返す。更に、
「俺だけの」
ギュッと手を握られて、
「そもそもネコじゃない!」
さすがに容認しないで手を振り払った。
「こいつが勃たなくなったのは知ってるんだろ?後ろがないと無理だけど……きみはこいつの後ろも満足させてやれる?」
俺の反応を見てまたいつもの調子を取り戻した佐々は楽しそうにカナに笑い掛ける。
「っ……」
歪むカナの顔。
悔しそうな、信じられないようなその顔に俺は掛ける言葉を見つけられない。
「お前が俺をおかしくしたんだろーが!」
とりあえず佐々の背中を殴ってやると、
「あぁ!だから、責任取ってやるよ?」
佐々はニヤリと笑って殴った俺の拳を掴んだ。
そのまま抱き寄せられてそれは咄嗟に避ける。
「やーばっ、アガる♡」
「腐ってんだろ」
「……何それ」
言い合う俺たちに向かって絞り出されたようなその声。
震えるカナは涙目でこっちを見上げた。
このカナを更に啼かせるのが好きだった。
この小さな身体を苛めて思いっきり抱き締めてやるのが……。なのに、
「ってことで、責任持って回収するから」
佐々に腰を引き寄せられてドキッとしてしまう。
今日はカナと出掛けて、少しずつ自信回復するはずだったのに……何で俺は佐々にこんなにも感情を乱されているのか。
……不本意ながら……かなり認めたくはないんだが……俺は完全にハマってしまったらしい。
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