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解いてくれることもなくパラリと目の前で解かれた新たな縄の束。
これまで佐々が手入れしている姿を見たことはあったが、それを使われるのはやはり無理で身構えた。
「フッ、嫌そうな顔」
「わかってんなら外せっ!!今すぐやめろっ!!」
目一杯拒否しているのに佐々は笑みを浮かべて顔を近づけてくる。
「そう言いながらいい顔しそうなんだよなぁ……お前♡」
これからされることを想像して俺はもう逃げの体勢。
壁にピタリと背をくっつけていたのに……俺の肩と足に手を掛けてクルッと向きを変えられた。
「待……」
言いかけたのに胸の前に縄を這わされてギョッとする。
しかも、すぐにギュッと絞められて息が詰まった。
「っ……や……」
なのに、佐々は手際よくシュルッと俺に縄を掛けて絞めていく。
後ろ手だけだったのに、上腕ごと胸を締められて動けない。
「あ……は……」
苦しいのにそれだけじゃなくて……キスをされたら蕩け出してしまう。しかも、
「佑真」
甘い声で初めて名前を呼ばれてゾクッと背筋を何かが走り抜けた。
慣れない体勢で縛られて窮屈で、縄も痛かったはずなのに……顎に手を掛けられてされるキスが心地よくて、キツい縄が佐々に強く抱き締められているような錯覚も起こし始める。
「なぁ……」
呼ばれてカシャッと音が聞こえても浅くしか息ができなくなっている俺は頭がぼーっとして反応できない。
「気持ちいい?」
頬を撫でられながら言われて、その大きな手に自ら頬を擦り寄せてしまった。
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