★性癖

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 嫌だったはずなのに……このキツさが堪らない。  ドキドキして苦しいのに、もっとギュッとして欲しい気がしてしまう。 「佐……んっ……キス……」  自ら強請って与えられるキスにホッとした。  夢中になってそのキスを受け止めて混ざった唾液を飲み込む。 「……もうドМのネコじゃん」  言われても俺の耳には入ってこなくて、ただ本能のままに佐々を求めた。 「佐々……も……」  張り詰めた前がキツくて腰を引く。  早々と上を脱がされて縛られているせいで隠すもののない下半身はきっと佐々にもバレバレなんだろう。  やっぱり佐々とだと痛いくらいに勃ってしまうのは喜ぶべきなんだろうか? 「触って欲しい?」  聞かれて素直に頷く。  頭もクラクラして抵抗する気なんてなくなった俺はむしろもっと刺激が欲しい。  なのに佐々は触ってくれなくて、息を乱しながら佐々を見つめる。  優しく笑う佐々はゆっくり俺の頭を撫でて額、鼻、頬、耳にキスをした。  目を閉じてそのキスを受け入れていると、 「準備は?」  耳に直接流し込まれてハッとする。 「……や、えっと……」  スッと一気に冷静になってきて興奮が覚めると同時に身構えた。 「風呂、な?」  なのににっこり笑う佐々はさっきまで触れもしなかった俺のベルトを素早く外す。 「いいっ!待て!」 「待たない」 「いや!せめて自分でするから!(これ)を外せ!」 「ヤダね」  手も使えない俺は妖しく笑う佐々に簡単に下着まで脱がされた。  全裸で上腕ごと縛られて後ろ手にされていた手もまとめられていては何もできない。  一人で立つことさえうまくバランスを保てなかった俺は佐々に軽々と風呂場へと連行されてしまった。
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