1、面談開始

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でも、いざ人間が住む「人間界」についたら欲が出てしまいました。丁度いいことに10歳くらいの死んだばかりの女の子の『衣』が、かわいそうに、横たわっていました。 私が中に入れば、この身体は腐ることもないと思いついてしまったのです。 私は同化しました。その子は本当に痩せ細っていたけど、私が同化したら私にそっくりの栄養が行き届いた女の子になりました。 服は麻のボロ切れのようなモノでした。足は裸足。私はいつも重たい打ち掛けをノルマで羽織っていたので、身が軽くて嬉しかったです。 今まで、言っていませんでしたが、私が降り立った頃の人間界の時代を『縄文時代』と言います。 紀元前2000年くらいの頃、縄文末期です。稲作は始まってはいましたが、ノウハウの確立はしていない………そんな時代です。 私は『衣』を調じられたので早速人間を探しに行きました。 その場所は……あの、水川神社のあるあたりです。少し離れた平地に村というものがありました。 竪穴式住居が30〜40固まって建っていました。共同の水場兼調理場、そして広場がありました。お手水も共同で離れたところにありました。私は、竪穴式住居を守るように囲んでいる柵の前にいるお婆さんに「しばらく、村に泊めてくれないか」と頼みました。 おばあさんは「女なら大歓迎だ。」と言いました。 そのおばあさんが、「村長(ムラオサ)でした。 「女なら、」の部分に少し引っ掛かりがありましたが、すぐに仮親の家に住まわせてくれました。 一件の竪穴式住居に5人が住んでいました。血縁関係はあったり、なかったりです。私の仮親は30代の男女でした。そして、私以外に少し年下の男の子がいました。年寄りも1人。年齢は良くわかりませんでした。年下の男の子に訊くと「大体、大人2人、子供1、2人、年寄り」の組み合わせで一件の住居に住んでいるそうでした。 仮の母親は私の格好を見て、それよりはマシな服と取り替えてくれました。 村の暮らしは楽しかった。必ず、仕事をしなくてはならなかったけれど、土器を作ったり、料理をしたり。ひとりぼっちの仕事とは違うんです。共同で皆で共に作るのです。威張った物言いも仕草もしなくていい。子供の私が子供でいられる。それだけで、嬉しかったんです。
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