7、暗闇の中

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そんな日々が、ずっと続く気がしていた。 ヒカルがどうしても外に出たいと言うのでカケルに言ったの。 「おうちの前だけならいいでしょう?お日様の光を浴びないのはお腹の子にも悪いと思う。」って。そうしたら、カケルは少し考えて、「少しの時間なら、日向ぼっこならいい。」って言ってくれたの。 ヒカルは本当に喜んで外でピョンピョン跳ねていたわ。お腹の子は何も話しかけて来なかった。ひょっとしたら人間の子じゃないかって心配していた。だって、そうしたら高天原で暮らせない。私は私の子を殺せない。召し上げるためでも殺せないもの。 カケルとの約束はちゃんと守った。少しの時間だけ。でも、毎日、ヒカルと外に出た。 「子供を産んでカケルが死んだら高天原に帰る。」 それだけを考えて、普通に暗闇の中で暮らしていた。 私には、存在した時からお役目がある。でも、私が居ないと世界は真っ暗になるというのは嘘だった。 私は洞穴の中に3年もいるのに太陽が出ないとカケルは言っていない。 本当は、私には「お役目」なんか無いのかも知れないって気がついた。 なぜ、私でなければダメなのか。太陽の神は私じゃない誰かができるのではないかって良く考えた。 お断りできるのなら、お断りしたいとずっと思っていたんだもの。 毎日のルーティーンだって、私より頭が良い柱がすればいいのよ。 私の頭の悪さでは女官も務まらない。 字が読めない、書けない。それも、この「ひとしき世界」では問題にならない。 文字がないから……。 ここにずっと居れたら、私は楽に存在することができる。 毎日同じような生活を送っているのに私の心は揺れていた。 いっそ、このまま帰らずに此処に居ようかとさえ思った。 お役目という逃げられない仕事も帰らなければ逃げられる。 でも、責任という言葉の意味も知っている。 私は了承してその責任を負ったわけじゃない。元々負わされている。それを考えたら逃げてもいいんじゃないか…… 暗闇は心の中の弱い部分に語りかけてくる。 楽な方へ楽な方へ誘っていく。私もその罠にハマっていた。 そして、最後にはコレは私のせいじゃない。カケルのせいだということにする。 実際、私の論理はそうなっていた。 カケルが私に子供を産ませたから帰れない。 カケルが私を閉じ込めたから私は帰れない。 私の力を媒介する水晶のペンダント。 カケルがアレを取り上げたから帰れない。
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