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次に検察官による論告をカイトが始める。
「提出した資料に『思しかまひ』の時の資料を加えます。被告は納得して『思しかまひ』を受け入れたのにも関わらず、途中で逃亡、50年のタイムリミットを超えて逃げ続けました。被告は、敢えてこの言葉を使いますが、『人間性に問題がある』と思われます。私はそばで見ていました。到底、更生は不可能だと結論づけます。私たち法務部が出した量刑はこうです。
被告は、人間に戻し、高天原から追放すべきです。このような者がいたら高天原が汚染される。女王陛下、この獣をさっさと追い出してください!」
アオイが怒鳴り返す。
「被告は3500年、実質『青の離宮』で幽閉されていたのだ!此処にいる皆、誰とて同じことを耐えられる者などいないではないか!みんな、自分が同じ境遇だったらと考えられないのか。被告は人付き合いが下手だ。強がって暴言も吐く。それも3500年、仕事もさせて貰えず、他者との交流がなかったから、そうなったんだ!とにかく一発勝負の裁判制度はおかしい!弁護人がいないのもおかしい!其処から考えてみてもらうことを望む!以上です。」
最後にカケルが意見を述べる。
「俺は自由になれるなら、なんでもいい。閉じ込められているか、逃げ出しているか、逃げているか。それしかないのは、もう嫌だ。どうにでもしてくれ。悪いことをしたのは理解した。悪いことをしているという自覚さえなかった。今は、巻き込まれた子供たちに謝りたい。」
裁判官、検察官、学者が評議室となっている玉座の間の控室に下がる。
評議を行う。
カケルはずっと下を向いていた。
評議が終わり全員が戻ってくる。最後に着席するのは、もちろん裁判官の王だ。
「それでは、裁断いたす。被告は人間に戻した上、高天原から永久追放とする。」
次の瞬間、桃花が「母上には心がないのですか!」と叫ぶと傍聴席の柵を飛び越えて裁判官席の母親に飛びかかった。ヒカルも暴れる桃花の後を追った。桃花は強力な念動力を持っていた。ヒカルも同じ力を持っていた。法廷での兄妹喧嘩は凄まじい破壊力を周りにもたらした。
玉座の間の物という物、全部が飛び交う。それが壁に当たり、玉座の間の壁にヒビが入りる。ヒビは瓦礫となり、兄と妹はそれを使って
お互いに攻撃を仕掛ける。
二柱の動きは俊敏で床に足が付いていない。
もちろんヒカルは母を守っていた。
桃花は父を守っていた。桃花は憎い母親に一矢報いると言わんばかりに兄の隙をついて母の足に蹴りを一発入れた。女王は倒れた。
女王陛下に蹴りを入れるなど………傍聴柱たちは青ざめていた。
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