ぼくは貝がら、君は手紙

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 *  その日の夜、久しぶりに早く帰ってきたパパといっしょにおふろに入った。  「ねぇパパ。ミクちゃん、引っ越ししちゃうんだって」  体を洗っておふろの中にパパといっしょに入った時にそう言うと、前にいたパパはえーと声をあげた。  「どこへ引っ越すって?」  「大阪って。ノアとヒロが言ってた。3日後に引っ越すんだって」  「3日後かぁ……早いな。ケンはミクちゃんと保育園の頃からいっしょだったもんな。さみしいな」  「うん」  パパのさみしいが何でさみしいのか、正直ぼくにはよくわからなかった。  でも、うんと言っておくことにした。  「ミクちゃんに、お別れちゃんと言わなきゃな」  パパがそう言って、ぼくの頭をわしゃわしゃした。
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