ぼくは貝がら、君は手紙

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ぼくは貝がら、君は手紙

 *  それは、小学2年生の8月のはじめ。  「ミクちゃん、2がっきから県外の学校行くんだって。大阪。めちゃとおいよね」   夕方の県住の公園の木の下。  じゅくから帰ってきたばかりのヒロとゲーム機で遊んでいた。すると、後ろのはしごから上がってきたノアがとつぜんそんなことを言ってきたから、ぼくはびっくりした。  ヒロとノアは、ミクちゃんと同じこのうしろの県住に住んでいる。ぼくだけ、ここからはなれた所に住んでいる。ぼくとヒロ、それにミクちゃんとノアは同級生で同じクラスだ。  「うそだ」  ぼくが言うと、ノアはおこった顔をした。  「うそじゃないもん。3日後にもうあっちに行くってきのううちのママが言ってたもん」  そう言ってノアはぼくの前をよこぎり、すべり台をすべってそのまま向こうへ行ってしまった。  「あー……ケン、それうそじゃない。俺もきいた。きのうお母さんから。ミクちゃんのお母さんからきいたって」  目の前にすわるメガネをかけたヒロが、ゲーム機を見たままつぶやいた。
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